自動ステージ 関連

自動ステージ 関連

案内方式の比較表

案内方式 移動精度 耐荷重 剛性
V 溝とクロスローラ(HG-VCR 方式)
V 溝とクロスローラ(V-CR 方式)
ローラウェイ
ボールウェイ
ボールブッシュ
回転ベアリング
表1 案内方式の比較  ☆:秀  ◎:優  ○:良  △:可

V溝とクロスローラ(HG-VCR方式)

V-CR方式の更なる性能向上を目指し開発された、当社独自の案内方式です。
名称を「HG-VCR」といいます。
ローラ同士の配列の間隔も極限まで狭くし、配列数を増やして、リテーナで保持しています。高い予圧がかけられ、コンパクトで超高剛性です。
当社の新しい自動ステージ、手動ステージに採用され、各種センサ、カメラなどの精密位置決めの他、各種生産機械、検査装置における精密な位置決め、測定などに対応可能です。
また剛性があるため、ある程度の偏荷重のかかる用途においても、安心してご利用いただけます。

この「HG-VCR」は特許を申請しています。
特願2006-070036号

V溝とクロスローラ(V-CR方式)

向き合った2本のV溝レールにローラを交互に直交配列させて1セットとし、2セット1組で使用して案内します。
V溝レール軌道面は焼き入れ硬化後、高精度研磨加工されていますので、真直度のよい案内が得られます。
また、ローラが使用されていますので、上下、横方向荷重共に大きな負荷容量を備えています。高精度、重荷重用ステージに使用している方式です。

ローラウェイ

循環式ローラベアリング2個とV溝レール1本を1セットとし、2セット1組で使用して案内します。
V溝レールは高精度研磨加工されていますので、真直度のよい案内が得られます。
また、ローラが使用されていますので、上下、横方向荷重共に大きな負荷容量を備えています。
さらに、循環式ローラベアリングを使用していますので、ストロークに関係なく、ステージ面の大きさがコンパクトです。
高精度、重荷重用のステージに使用しています。

ボールウェイ

循環式ボールベアリング2個とガイドレール1本を1セットとし、2セット1組で使用して案内します。
ガイドレールは高精度研磨加工されていますが、ステージ取付面精度によって精度が若干変化します。循環式ボールベアリングは、多数の鋼球がガイドレールのR溝と接触していますので、上下、横方向荷重共に負荷容量を備えています。
循環式ボールベアリングを使用していますので、ストロークに関係なく、ステージ面の大きさがコンパクトです。
高精度、重荷重用のステージに使用しています。

ボールブッシュ

ボールスライドベアリング2個とシャフト1本を1セットとし、2セット1組で使用して案内します。
シャフトは研磨加工されていますが、ステージ取付面精度や荷重によって変化しやすいため、並精度です。
鋼球とシャフトは点接触となりますので、軽負荷用になります。
ボールスライドベアリングを使用していますので、ストロークに関係なく、ステージ面の大きさはコンパクトです。
ステージ本体はアルミ合金製で軽量です。並精度、軽荷重用のステージに使用しています。

回転ベアリング

アンギュラベアリング、クロスローラベアリング等の回転ベアリングを使用して案内します。
高精度予圧式アンギュラベアリング、クロスローラベアリングを使用していますので、精度がよく、ガタのない回転が得られます。
また、クロスローラベアリングはローラを使用していますので、上下、横方向荷重共に大きな負荷容量を備えています。
高精度、重荷重用の回転ステージに使用しています。

傾斜ステージの駆動機構について

光ピックアップ調整装置やディスク製造装置などの角度調整を必要とする分野で広く利用されている傾斜ステージに、新たな駆動機構を採用しラインアップしました。
その駆動機構はこの度当社で開発しました「複合カップリング機構 CCM」で、今までの傾斜ステージの持つ問題点を解決し、高精度、高分解能、耐久性、駆動トルクの向上を実現しました。

複合カップリング機構の概要

この「複合カップリング機構」は、傾斜テージの駆動機構として、当社における従来のウォームギヤに替わり、送りねじを採用しました。
その送りねじと傾斜部分を「直進運動を角度運動に変換する部品」で連結することにより、送りねじの描く直線軌道が傾斜部分の描く円弧軌道に伝達する機構になっています。
この機構を採用することで精密ねじの長所を生かすことができ、その結果、高分解能・滑らかな動き・耐久性が可能となりました。

従来技術と問題点

■ウォームギヤ方式
ウォームホイールとウォームギヤによる一般的な駆動機構です。傾斜ステージでは上テーブルの一部をウォームホイール形状にし、ウォームギヤで駆動させています。この機構は、一定量のバックラッシュを持たせるか、十分なラッピング調整を行わないと、動作時にウォームギヤが重くなったり、ウォームギヤの偏心により回転トルクムラが出ることがありました。
また、ウォームホイールとウォームギヤの摺動面が少ないため、耐磨耗性にも問題がありました。

■アクチュエータ+ばね方式
アクチュエータとばねを使用した一般的な微動傾斜ステージに採用されている駆動機構です。
アクチュエータで上テーブルを押し出し、ばねで上テーブルをアクチュエータ側に戻してバックラッシを無くす機構です。
この機構は、ばね力が強いとアクチュエータにかかる負荷が重くなり、駆動時の負荷が大きいとテーブルが重くなったり、ばね力が弱いとテーブルが戻らなくなる問題がありました。

複合カップリング機構の特長

「複合カップリング機構」の駆動は送りねじと特殊な連結部品を採用しているので、従来技術に対し次のような特長があります。

●ウォームギヤ方式に比べ高分解能です。
●特殊な連結部品の自由な動きにより、回転ムラを吸収します。
●駆動トルクが小さいので、滑らかな動きが実現できます。
● ウォームギヤより摺動面が多くできるので、耐久性を向上できます。
●ばねを使用しないので、確実な送りが実現できます。
● 送りねじのリードを変更することにより分解能や移動速度の変更が可能です。

位置決め誤差について

直線軌道を円弧軌道に変換しているため、送りねじの移動量と実際に動く傾斜部分との間にタンジェントカーブに沿った角度誤差と送りねじと傾斜部分の距離にサインカーブに沿った角度誤差が存在します。しかし、現実には移動量±3°以内での位置決め誤差は微小で、移動量±5°以内でもウォームギヤ方式の位置決めより少なくなります。また、補正を行うことによって高い位置決め精度を実現することも可能となります。
上記の値は次の計算式で求められます。
  ・送りねじと傾斜部分の距離での位置決め誤差(nは送りねじの移動量)
     位置決め誤差=sin‒(1 1㎜/100㎜)×n-sin‒(1 n/100㎜)
  ・移動量と実際に動く傾斜部分での位置決め誤差(nは送りねじの移動量)
     位置決め誤差=tan‒(1 1㎜/100㎜)×n-tan‒(1 n/100㎜)

特許について

この「複合カップリング機構」は「テーブル姿勢調整装置 特許第3848304号」として特許登録されました。
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